研究に「二番煎じ」はありません。その内容が何であれ、研究と称するからには、その結果はいままで知られていなかったものでなければなりません。言い換えるならば、研究というものには、予めわかっている答えはない、ということです。このことは、もちろん卒業研究にも当てはまります。

一方、皆さんがこれまでに行ってきた勉強は、先人が切り拓いて確立した様々な学問の道をたどる行為であると言えます。道を踏み外すことなくきちんと進んでいるかどうかは予め正解が用意されている試験問題を解くことで評価されます。正解が多いほど高い評価を得られることは言うまでもありません。

ところが、最初に述べたように、研究というものには予めわかっている答えはありません。つまり、これまでの勉強の仕方は研究には通用しないということです。皆さんは、卒業研究を通じて研究の仕方を体得することになります。そして、研究を通じて培われる問題解決能力は、自らの人生を切り拓く大いなる武器になり得ます。 私自身、大学に移る前に勤めていた会社では学生時代の研究分野とは全く関係のない部署に配属されましたが、学生時代に身についた研究の仕方は分野が違っても充分に通用しました。要するに、大切なことは「何を研究したか」よりは「どう研究したか」という部分にあります。皆さんも有意義な研究の経験を積めるよう願ってやみません。